■作 ベルナール=マリ・コルテス
■演出/美術 佐藤 信
■訳 佐伯 隆幸
■CAST
『綿畑の孤独のなかで』
柄本 明 / KONTA
『タバタバ』
みや なおこ / ハラ トモヒロ
《TOKYO》
■劇場 下北沢 ザ・スズナリ
■期間 2003年9月18日(木)〜25日(木)
《OSAKA》
■劇場 梅田・HEP HALL
■期間 2003年9月29日(月)〜10月1日(水)
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■作家ベルナール=マリ・コルテス
1989年にエイズで亡くなったフランスの劇作家。「ロベルト・ズッコ」の作者。
ヨーロッパにありながら、アフリカ、南米など、辺境への放浪に明け暮れた生涯とその体験に裏付けられた彼のユニークな作品は80年代から脚光を浴び、今日ではヨーロッパ演劇の最先端・現代フランス演劇の巨星・「異境」の作家として揺るぎない位置を占める。
■なぜ今、日本でコルテスか?
コルテスの作品はドイツのハイナー・ミュラー等と並び、不条理演劇以降のヨーロッパに久々に現れたまったく新しい質とスタイルをもった世界演劇であり、歴史の「今」の底に横たわる矛盾と現代が現代でしかない醒めた感覚とを類のないポリフォニックな文体で描く独自の「前衛劇」として、ヨーロッパでは毎シーズンのように演出家たちが競って舞台化、注目を集め続けている。
フランス人でありつつ、その文化、風土に甘んぜず、アフリカ、南米等の異郷からの目をもって、「どこでもない場所」の「だれでもない人」をスケール大きく描くことで「現代」と「世界」をあぶり出しているところにその人気の理由はあるのかもしれない。
しかしわが国では、実在の連続殺人犯の若者をモデルにした『ロベルト・ズッコ』以外は、リーデイングの形を除けば、まだコルテスは知られていないのが現状。フランス現代演劇の最重要作家と考えていいコルテスの、一見難解ともみえるその奥底にある諧謔、悲しみ、熱情、そして現代と人間に対する恐ろしいほど透徹した眼、その鮮烈さを観てもらいたい、そしてコルテスの世界はもっともっと複雑で面白い・・この作家の別の魅力に、この日本でもっとふれてもらいたい。
■既訳ではなく再新訳での上演
上演に当たって、『綿畑』は、日本でのコルテス紹介のさきがけで、その研究の第一人者でもある佐伯隆幸氏の全面的な協力のもと、同氏の新しく見直した訳を使用(既訳『綿畑の孤独のなかで』は『コルテス戯曲選』に収録)。
佐伯氏は2003年4月までの1年間パリに滞在、研修。実地に多くの舞台にふれつつ、コルテスの作品を中心に最新の劇作家たちの動き、「テクスト」復興とでもいえる現象をつぶさに探求し、コルテス世界のもつヨーロッパでの時代的・状況的文脈を含め、その言語の深さ、多義・多音性や呼吸法を会得する。 |
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あらすじ■
『綿畑の孤独のなかで』
都会の片隅で出会ったディーラー(なにかを売ると称する男)と、その客に見立てられたもうひとりの男との、腹の底を探り合いながらの、ときに奇想天外な口上や不思議な想像力の展開の入り混じるメタフィジック劇。
『タバタバ』
バイクに入れあげて家に引きこもっている弟と、それを恥じて年相応に女の子と遊びにいくように勧める口うるさい姉。そのふたりにバイクしか出てこない、短いがきわめて緻密な構成の姉弟劇。
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