綿畑の孤独のなかで/タバタバKONTA meets Brecht公演写真
なんぼのもんじゃい
九十九一M.L.P + DONNA・DONNA + TANIGUCHI プロデュース

■作
/演出■  谷口 秀一
■音楽■     KONTA

■CAST■
 九十九 一/みや なおこ

《TOKYO》
■劇場■  新宿THEATER/TOPS
■期間■  2004年3月18日(木)〜21日(日)

《OSAKA》
■劇場■ 梅田・HEP HALL
■期間■
 2004年4月5日(月)〜7日(日) (水)
 
■ 谷口 秀一(作・演出)
大阪、西成で生まれ育った私には子供の頃から不可解なものがたくさんあった。
シミーズ一枚で大声を上げながら走り回る女。夏の夜、服を小脇に抱えサルマタ一つで歩く材木屋のおやじ。大きな闘犬を散歩させるテキヤの小人。狐憑きになった蒲鉾屋の娘。浪曲師の薬屋。ステテコ姿の人間国宝。年に数度、タヌキに騙されて財布を失くす祖父。細い路地の向こうで口をあける飛田へのガード…汗でへばりつくような不可解。
それをなんとか自分なりに解き明かそうとしたのがこの『なんぼのもんじゃい』だった。

■ おすぎ(映画評論家)■
 谷口秀一作の『なんぼのもんじゃい』を初めて観た時、ド肝を抜かれました。九十九一が演じる男が一緒に暮らしている女を本当に殴るのです。舞台の上で暴力が罷り通っている、それが全然、不愉快ではない、かえって一種の快感が身体に流れ"感動"してしまったのです。官能と暴力の極地を描いた『なんぼのもんじゃい』。私は大好きな芝居です。                  



 ■ あらすじ■
大阪西成のドヤ街で、あやしげな"ヘビのエキスの万能薬"を売る男(香具師)と、その男に惚れ抜いて、同棲している女。女は少々頭が弱く、パチンコに明け暮れる男に悪態をついては、どつきまわされる毎日。ところがある夏の日、男の飼っているヘビが大家に殺され、そのヘビの霊が女房に取り憑いてしまう。女房の身体をヘビにのっとられ、いたぶられる側へと立場が逆転した男の中でいつしか何かが変わっていく・・・。
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■STAFF   
照明:五十嵐 正夫  音響:丸山真由美 舞台監督:森下紀彦  衣裳:平野里子 
宣伝美術:東 学(188)  
制作:城島和加乃(E-Pin 企画)・馬場敦子(DONNA・DONNA)  
企画制作:E-Pin 企画   助成:芸術文化振興基金   後援:朝日放送       
企画製作:九十九一M.L.P + DONNA・DONNA + TANIGUCHI 

■協力  
(株) インガルス・(有)E-Pin 企画・(株) キューブ・(株) リコモーション・劇団そとばこまち・アトリエK




■7回目の再演■谷口秀一 作・演出、九十九一・みやなおこ出演によるこの作品は、1987 年の初演以来、企画、プロデューサーを換えながら再演を重ねること6回を数える
この作品の上演によって、谷口は劇作家としての評価を受け、九十九は「芸人」としてではなく「演劇人」の地位を確立。また、みやは関西の女優としてだけではなく、東京でも認知されるきっかけとなった
これはその後の、この作品に対する谷口、九十九、みやのライフワークとしての取り組みを決定づけ、また再演回数はテキストの秀逸さと普遍性を物語っている
■大阪弁の力■今や、地元ですら聞かれなくなりつつある生粋の大阪弁で、独特の生活感を醸しながら演じられるこの芝居は、「しょうむない」男と女の、暴力的で悲惨な情景を描きながら、滑稽さとある種の清涼感すら漂わせる。それは巷間「お笑い」の言語として流布している「大阪弁」とは違った、荒っぽいがまろやかで情感的な「大阪弁」の持つ力である
この「本格的な大阪弁」の魅力を伝え、広め、残していくというのが本公演の目的のひとつであった
■KONTAが音楽■今回の再演にあたり、過去6演とも使用した音楽を一新、元バービーボーイズのKONTAが新しい「なんぼのもんじゃい」の音楽に挑戦。
■現代版雨月物語■現代版・雨月物語とも評されたこの物語は、男と女の究極的な愛の姿を描くとともに、現代に生きる者すべてが持つ寂寞感をもあぶりだしている。
このように再演し続け、作品・俳優ともに成長し、一過性の流行に流されない良質で優れた演劇のスタンダードを築き上げることができる芝居がこの『なんぼのもんじゃい』である。




■『なんぼのもんじゃい』上演記録■

■東京初演
つくもはじめプロデュース+THEATER/TOPS 提携
1987年1月12日〜18日 9回公演THEATER/TOPS
■東京再演
シアタートップス+TANIGUCHI 提携公演
1987年5月28日〜6 月1日 7 回公演
THEATER/TOPS
■東京三演
渡辺正行プロデュース THEATER/TOPS 提携公演
1989年2月1日〜4日 4回公演THEATER/TOPS
■大阪初演
リコモーションプロデュース
1989年7月13日〜16日 7回公演 
キリンプラザホール
■大阪再演
そとばこまちプロデュース
1995年5月1日〜3日  3回公演 
近鉄アート館
■東京四演
そとばこまちプロデュース
1995年5月9日〜14日 7回公演 
シアターX カイ

 

東京公演・観劇感想■

■徐々に描かれる事実と交差する感情。緊迫感高い。
■ダウナー系の麻薬のような芝居☆観劇後すぐには立ち上がれなかった、まさに傑作。みやさんはしばらく夢に出てきそう。
■この時代にこの芝居。好きも嫌いも絶句もありでとにかく体感する価値あり
■二人の演技は超迫力あります。暴力シーンが多いのに不快感もなし。
■みやなおこさんの表情の変わり様、特に薄ら笑いの表情が秀逸でした。九十九一さんも、やり切れなさがとてもよかったです。
■すごい大人の芝居。こういうのが観たかった。
■みやなおこ様の豹変ぶりが鳥肌ものでした。必見。一生に一度、いや二度は観るべきだと思います。
■まさに中毒症状。後になればなるほど、ドンときてます。大阪までもう一回観に行くこと検討中。
■いやあ、周りがあまりすごいすごいと言うのでついに見てきました。計算されつくした、メタファーが、今安易に日常にあぐらをかいている者の心にグサグサ来ます。みやなおこと一緒にずっと殴られ続けていたい。そんな優しい優しい芝居だった。
etc.・・・